怨霊になった元夫がネットに流出したんですけど、どうしたらいいですか〜『トランセンデンス』(ネタバレ)

 『トランセンデンス』を見た。はっきり言ってすごくつまらなかった…

 一応、ストーリーは天才科学者ウィルが反テクノロジーテロリストに暗殺されかけるところから始まる。即死はしなかったがだんだん弱って死んでいく夫の意識を、妻でやはり科学者であるエヴリンがコンピュータにアップロード。ウィルは人工知能として生き残るが、だんだん暴走をはじめて…というもの。

 一見すると科学の限界とか脅威を描くSFみたいだが、このテーマは全然掘り下げられておらず、最後のほうはグダグダになって「怨霊になった元夫がネットに流出!さあどうする!」みたいなホラーになってた。なんかサーバに幽霊がいるという携帯小説原作の映画があるらしいのだが、日本映画でもとっくに出ているような発想を金かけてやっただけ、というべきか…

 ちなみにこの映画、監督はしてないのだが製作がクリストファー・ノーランで、キリアン・マーフィも出ており、はっきり言ってレベッカ・ホールの役(エヴリン)がレオナルド・ディカプリオじゃないのがおかしいくらいにノーラン印である。夫に執着する妻が夫の幻影をつくり、今度はその幻影のほうが妻に執着しはじめるって、それ『インセプション』の性別が逆になっただけじゃんか…科学に関するテーマがなんか夫婦の怨霊ホラーにしゅしゅしゅっと先細っていくあたりもすごくノーラン印だ。最初っから科学どうこうとかやめて愛憎怨霊ホラーにしたほうがよかったんじゃないだろうか…ジョニー・デップの役(ウィル)はマリオン・コティヤールでも別にいいと思う…のだが、『ダークナイト ライジング』でマリオン・コティヤールが死ぬ場面の演技を見てちょっとノーランとコティヤールの関係が心配になった覚えがあるので(ゲスの勘ぐりに違いないのだが、なんかあの演技は変すぎてノーランが何かコティヤールに異常な執着を抱いてるとしか思えんかった)やめよう。