パーティをぶちこわしたら粛清〜『ひなぎく』(ネタバレあり)

 イメージフォーラムで『ひなぎく』の回顧上映を見てきた。1966年のチェコスロバキア映画で、大変有名な作品だが今まで見たことなかった。

 アヴァンギャルドでオシャレでチェコっぽいイカれた映画だときいていたのだが、実際に見たらあまりにも終わり方が重くてびっくりした。ストーリーは、若くて可愛らしくて何も恐れない大胆不敵な姉妹が、お金持ちのおじさんたちをひっかけたりその他あらゆるイタズラをやってのけ、最後はパーティで食べ物を荒らしまくるが、そのせいで罰を受け、掃除をさせられた上にシャンデリア落下の刑(?!)に処されるというもの。全体的に一貫したストーリーとかはないが、溢れる色彩や不思議な編集など、たいへん特徴的で、大画面で見たほうが断然、楽しめる映画だと思った。

 これ、最後のパーティはおそらくpartyそのもの(チェコ語で「党」と「パーティ」が一緒の単語かどうかは私はまったくわからんし、さらにこの頃は「チェコスロバキア語」とかがあったのかもとか思うといろいろ無知でよくわからないのだが)で、豪華な食事(これがまた謎の料理が多くてチェコ文化がよくわからんのが悔やまれる)がたっぷり並んでいるあたり、共産党幹部用のパーティだと思う。さんざん反逆的なイタズラをして逃げおおせてきた二人が、共産党幹部のパーティを荒らしたせいで罰を受けるって、それ粛清の暗喩だと思うんだが…そうすると二人のイタズラもチェコスロバキア社会に対する反逆に見えるし、最後のサラダに関する字幕も意味深長だ。明らかに政治的な映画で、案の定政府の検閲をくらったらしい。