ブライトン(1)ロイヤル・パヴィリオンと博物館

 UK出張中はブライトン近郊のサセックス大学に出張する予定だったのが、事情があって調査ができなくなったので、ブライトンにだけ行ってきた。
 とりあえずロイヤル・パヴィリオンに行く。


 ここはジョージ四世が摂政王太子時代に建てた離宮で、インドふうの外見に中国風の内装という、18世紀末〜19世紀初めの豪華趣味、オリエンタリズム丸出しの建築物である。ただしそんなに趣味が悪いというわけではなく、へんちくりんでイカれた建物ではあるものの、竹っぽく塗装した調度品やら細かく中国風の模様を書き込んだ壁紙やら内装はかなり美麗で統一感があり(修復がしっかりしているというのもあるのだろうが)、見応えがある。オーディオガイドをもらえるので、ジョージの派手な女出入りや家族関係などについても学ぶことがでいる。この宮殿は賑やかな保養地ブライトンにあり、独身で巨体で遊び好きだったジョージにあわせて作られたので、家族持ちで小さくて静かな暮らしが好きだったヴィクトリアはかなり不便に感じていて(たしかに言われてみると夫婦用の寝室とか子ども部屋とかにできそうな部屋は、少なくともメインの見学コースにはなかったな…)、この屋敷を得ることにし、結局ブライトン市が買い取って公共の建物にしたのだそうだ。
 なお、この建物は第一次世界大戦中は南アジアの負傷兵用病院として使用されていたらしい。当時、植民地だったインドの兵士は、英国軍に入るとヒンドゥーの教えに反したような暮らしをさせられる、怪我や病気をした際も自分たちの文化にあった手当が受けられない、というような不安を抱いていたそうで、インド風の外見を持つこの建物はそうした不安を払拭するためのプロパガンダとして病院に改装されたのだそうだ。カーストや宗派ごとにキッチンや食事、また病室も分けるなど、南アジアの社会制度を反映した治療プランが立てられていたらしい。しかし、解説を見た限りでは低カーストの患者はどうも不便そうな病室をあてがわれていたようで、そのあたりは私はあまりよくないと思ったのだが…

 こちらはパヴィリオンの庭園。



 庭園のカフェ。

 リスもいる。

 パヴィリオンの庭園の一角に博物館がある。





 ブライトンといえば歓楽の街…ということで、エロ広告などのコレクションも!LGBT向けエンタテイメントチラシとかもある。

 この女性は、ブライトンでも初めて海水浴ビジネスを始めた人々のうちの一人だそうな。

 演芸の特集展示をやっていて、非常に面白かった。



 こちらは女性画家の特集展示。これもなかなかよかった。

 この他に第一次世界大戦の特集展示がやっぱりここにもあり、サセックスの人々の戦争体験についていろいろなものを見ることができる。南アジア人の兵士についての展示では、「ヴィクトリアクロスをもらえたのは素晴らしいが、毒ガスで受けた苦しみに報いてくれるようなものではない」というような辛い記述が読めるし、またまたフランスから亡命してきた避難民とか、出征した孫を気遣うおばあちゃんとかの話もなかなか心を打つものがある。