全く私の趣味じゃなかった〜山の手事情社『テンペスト』

 山の手事情社の『テンペスト』を池袋の東京芸術劇場で見てきた。まあ意欲的とは言えるのかもしれないが、私は全く面白くなかった…

 とりあえず私は精神分析のにおいがする上演はたいてい嫌いなのだが、この公演はわりと「プロスペローの狂気と正気」に焦点をあてているものだと思うんだけれども、そこになんともいえない精神分析風味があって非常に気にくわなかった。あと、全体的に動き中心で台詞がおそろかになっているところもよくない。さらにはナポリ王を女王にするキャスティングやら、父親からファーディナンドまでやたら他人をスカートの中に入れてキャリバンにもベタベタするミランダやらの演出になんともいえないミソジニーが感じられたのも非常に不愉快であった。演出じたいはどちらかというとグリーナウェイの『プロスペローの本』の路線を狙っていると思うのだが、そんならもっとはっちゃけてもらわないと…