ニューオーリンズ(3)ドロシー・パーカー短編の舞台化『ワルツ』

 さて、ホテル劇の次はドロシー・パーカーの短編「ワルツ」を舞台化した作品「ワルツ」(The Waltz)を見た。クローディア・ボームガーテンがパーカーの作品をもとに作った短い一人芝居で、最初に少し伝記的な話(全てパーカーの書いたものに基づいているらしい)があり、その後にモノローグの形で書かれた短編「ワルツ」の独演となる。ポストトークできいたところ、この作品を舞台化した人は今までいなかったということなのだが、ラジオドラマみたいにしてタルーラ・バンクヘッドが独演した音源が見つかった。一人芝居にぴったりの作品なので、今まで舞台化されていなかったのが不思議なくらいだ。

 基本的には、女性が男性にワルツを申し込まれて、全く踊りたくないのだが礼儀上ことわれないという状況を描いたものである。短い話だが、女性が男性に従わないといけないという社交上の掟を面白おかしく諷刺したもので、笑えるところがたくさんある。語り手はドロシー自身ということになっており、テキストよりは少し成熟した女性の回想のような雰囲気の上演だった。