とてもよくできたミュージカル〜『レ・ミゼラブル』

 帝劇で『レ・ミゼラブル』を見た。舞台で見るのはもちろん初めてだったのだが、大変よくできた舞台だと思った。

 とりあえず、あれだけ長い話をカットしまくってちゃんと話がつながるようにしているのがまず感心する。さらに舞台的な醍醐味に満ちており、後半のクライマックスである六月蜂起を描くところはバリゲードを舞台奥に、舞台前方をバリゲード内部として蜂起側の若者たちのアクションを展開させ、結果的に観客をバリゲードの中にとりこむような演出にしているところがものすごく感情移入を誘う。映画ならスプリットスクリーンで簡単に表現できるが現代の舞台だとちょっと難しいようなところも、歌と舞台装置をうまく使い、声の質で登場人物の性格と心情を表しつつ、流麗にいろんな人間関係を見せている。

 あと、見ていて思ったのは、エポニーヌは私が思ったよりもかなり印象的なキャラクターだということである。実は私、映画のほうは飛行機の中かなんかで時差ボケ状態で見たのであんまり覚えておらず、ヒュー・ジャックマンしかおぼえてなくて(?!)エポニーヌは正直、ひたすら耐えてるだけの人みたいな感じで印象が薄かったのだが、舞台を見ていてまあ古典的なジェンダーステレオタイプにはまってはいるものの相当に複雑なキャラクターだと思った。映画をもう一度、覚醒状態で見直して分析し直す必要がある。