シラーの原作と比べると、どうしても…パルコ劇場『メアリー・ステュアート』

 パルコ劇場で『メアリー・ステュアート』を見てきた。中谷美紀と神野三鈴の二人芝居で、主に中谷がスコットランド女王メアリ、神野がエリザベス一世を演じつつ、他の侍女などの役もこの二人でこなすというもの。シラーの同名戯曲を原作に、イタリアの現代作家ダーチャ・マライーニが自由に翻案したものである。

 斜め上方に鏡を据え付けた舞台に机などの小道具を配置し、二人の女優が縦横無尽にいろんな役に入れ替わる様子は刺激的だし、また女性だけが登場に、エリザベスの結婚問題やボスウェルによるメアリのレイプなどを全面に出してくるあたりはフェミニズム的でもあるのだが、正直、演出がかなり平板な感じですごく「フツー」の芝居だったと思う。もともと、あまりプロットに進展があるような戯曲ではないし、またメアリとエリザベスは舞台で相まみえることはなく、また敵同士でもあるので、もっと2人の女性の微妙な関係をうまく演出で明らかにしないと盛り上がりに欠けるように思った。ただ、原作であるシラーの芝居がものすごくドラマチックなので、なんか平べったい芝居に見えるのはそれと比較してしまうせいだからなのかもしれないが…