アリ・フォルマンはアニメ界のクリス・ノーランか?『コングレス未来学会議』(ネタバレあり)

 『コングレス未来学会議』を見てきた。『戦場でワルツを』のアリ・フォルマン監督の最新作である。スタニスラフ・レムの『泰平ヨンの未来学会議』が原作らしいが、未読である。

 前半と最後の少々が実写、中盤がアニメで展開する。主人公は女優のロビン・ライト(本人役)。障害のある息子アーロンを抱えて将来が不安なロビンは、キャリアが行き詰まってきたのをきっかけとして、ミラマウント社に説得され、自分をCGのキャラにして会社に譲渡する契約を結ぶことにする。ロビンは表情などを全てスキャンされ、ミラマウント社はそれをもとにして役者を現場に呼ばなくても好きなように作品を作れるようになる。こうして自分のキャラをミラマウント社に譲渡した20年後、ロビンのキャラはいろいろなコンテンツに使われて大スターとなっており、本人がアブラハマシティで開かれるミラマウント社の未来学会議に招かれることになった。アブラハマシティはアニメ専用ゾーンであるため、ロビンも薬を飲んでアニメになって街に入るが…

 ロビン・ライトの演技は素晴らしいし、あとおじいさんになったハーヴェイ・カイテル(アル役)が相変わらず年食ってもステキだ。『戦場でワルツを』の流れをくむ悪夢のようなアニメのヴィジュアルもすごい…のだが、親が子を取り戻すために時空をさまようという筋や、幻想と現実の多層的な描き方、愛と執着へのこだわりなんかのテーマがちょっと『インターステラー』(+『インセプション』?)に似すぎているような気がした。そういえば『戦場でワルツを』も失われた記憶を回復するという話だったし、どうもこの2人はテーマ設定が似ている気がする(そして実は私はノーランがそんなに好きでもない)。ひょっとしてアリ・フォルマンってアニメ界のクリス・ノーランなのかな…