女性陣の親密感は良いが…Pカンパニー『お気に召すまま』

 西池袋のスタジオPでPカンパニー・P-Quest『お気に召すまま』を見てきた。こじんまりした箱で木下順二訳を使ってやるという試みである。演出じたいは笑いのツボを押さえたもので、そんなに悪くなかった。

 全体的に、ロザリンドとシーリアの親密感の表現は大変良い。2人とも女性の時はとても可愛らしい花柄のワンピースで、床を転がりながらキャッキャウフフしたりするあたりは現代の生き生きした女性たちらしく親近感が湧く。男装してギャニミードとエイリーナになった後も良かったと思う。この2人の親密感が表現されていればまあ『お気に召すまま』は半分は成功だと思うので、ここは大満足だ。

 ただ、オーランドーとオリヴァーの兄弟はちょっと若々しい色男ぶりが足りないと思った。この兄弟は善悪で対比があるようだが、実は両人ともけっこう若くて単純でそれぞれ色男でないとちょっとストーリーの説得力が減ると思うのである(そうでないと切羽詰まったオーランドーが森で前公爵を襲ったり、オリヴァーがシーリアに一目惚れしたりするあたりの物語が強引になってしまう)。この公演ではどちらも落ち着いた大人の男性みたいに演出されており、私としてはちょっと物足りなかった。

 あと、もう一つ気になったのはアーデンの森の気温である。前公爵たちが森で語ったりする場面では風の効果音が入ったりしていて寒そうなのだが、ロザリンドとシーリアは同じ森について「気に入った」とか言っていて、この2人の登場場面ではかなりアーデンの森が居心地の良いところに見えるため、ちょっと森の気温とか様子が一定しないように感じた。