それ、デジタル化しよう〜『図書館戦争 The Last Misson』(ネタバレあり)

 『図書館戦争 The Last Mission』を見てきた。前作は見ているのだが、ドラマは見ていない。

 …で、すごくひどいという話をきいて行ったのだが、全く期待していかったので思ったほどものすごくひどいというわけではなかった。ただ、話に穴がありすぎるし、またここまでデジタルな時代(+ツタヤ図書館の時代)になるともう設定自体が古すぎてついていけない感じがする。

 とりあえずストーリーはツッコミどころだらけである。『図書館戦争』は朝廷と僧兵が内戦してるみたいな和風の設定を許容できるかどうかでだいぶ面白さが違うと思うし、本では許容できても映画で実写になっちゃうとちょっとなぁ…というところもあると思うのだが、この設定はけっこう許容できる私でもこの続編はかなり問題があると思った。とくに、途中で笠原がはめられそうになる焚書事件の話は映画にしてみるといろいろ不自然すぎる。図書館で本燃やすとか保安上の不祥事だから隊員がテレビ報道まで知らないとかいったいこの図書館の防火対策はどうなっとるんだと思うし、手塚(兄)と砂川がいったいどういう策略で笠原をはめようとしたのかもよくわからないし、査問会の経過はアホみたいだし堂上にすら告白できない笠原が手塚兄とフレンチに行く時のテンションの演出がなんかちょっとおかしい気がするし、あっさり策略をひっこめちゃう手塚兄はいったい何を考えていたかよくわからんし…本を読んだ時はわりと勢いでカバーされていてこんなに不自然でなかったような気がするんだが…他にもちょこちょこ話に綻びがあると思う。

 あと、もうひとつ気になったのはこのシリーズ、ものすごくモノとしての本にこだわっていて、保存や検閲対策のためにマイクロフィルムにしようとかデジタル化しようという発想が一切ないところである(このへん妙なフェティシズムを感じる)。図書館法規についての唯一現存する稀覯本を運ぶところ、「これちゃんと展示前に全ページの画像を保存したのかな」と不安になってしまった。まあ、図書隊にかかってるカネを使ってデジタル人文学の研究者とコンピュータ技術者(ハッカー活動してアノニマスやってるような人にお願いするのがいいのかもね)を雇い、どこか海外の著作権法違反が親告罪でない国にサーバ置いて手当たり次第に検閲対象図書を電子化してファイルでばらまいたほうが安全だしカネかからないし効率的なんじゃないかと思う(違法な行為かもしれないのでうまくいくかわからんが、戦闘するよりは効率的だろう)。前作の最後に出てきてた史料類とかはたぶんデジタル化でばらまいても全然著作権OKだったんじゃないかな。もっと情報公開しよう!