イヌとウィレム・デフォーがカワイイ〜『ジョン・ウィック』(ネタバレあり)

 映画鑑賞の会でキアヌ・リーヴス主演『ジョン・ウィック』を見てきた

 妻の忘れ形見であるイヌを殺された元殺し屋ジョン・ウィックが、イヌを殺したロシアンマフィアのドラ息子に復讐すべく闇の世界に戻っていくという話である。単純な話だが、怒濤のアクションはもちろん、リアルな撮り方のわりには作り込んだちょっとファンタジー的な世界観、孤独だが優しいところもある殺し屋ジョンがキアヌ・リーヴスの持ち味によくはまっているところもあり、最後まで飽きずに見ることができる。

 とりあえず最愛の妻から忘れ形見として送られた子犬のデイジーがとてもカワイイのだが(ここからネタバレ注意)、デイジーはけっこうあっさり殺されてしまう。しかしながらこの映画にはもうひとりカワイイものが登場する。それがジョンの親友である腕利きの殺し屋マーカス(ウィレム・デフォー)である。マーカスは最初にジョンの妻の葬儀の場面で一瞬現れ、途中でジョン殺しをロシアン・マフィアのボスに依頼されるのだが、遠くからジョンを見張りつつ、殺さずにピンチになったら助けたりする。ライフルを通してジョンを見守るマーカスの熱い友情はこんなにコワモテのくせになんか愛らしいとすら言えるような優しい雰囲気があり、まったくおじさまスラッシュをあてこんでいるとしか思えないものなのだが、実はそんなマーカスにも悲劇が待っているのである。この映画ではイヌとマーカスは両方ともひどいめにあったことでジョンの復讐心をふるいたたせるきっかけになるものというふうに描かれており、全体的にカワイイものを奪われた主人公が復讐をするという話なのかもしれない。