『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』を見た。
赤狩りの対象となった中でも最も有名なハリウッドの脚本家、ダルトン・トランボの半生を描いた歴史ものである。トランボが干されてから復活するまでを描いている。
とにかくトランボを演じるブライアン・クランストンの演技を見るためみたいな映画である。溢れる才能に嫌な性格がいっぱいついてくるトランボをとにかく見事に人間らしく演じている。妻のクレオを演じるダイアン・レインや娘のニッキーを演じるエル・ファニング、ちょろっとヘッダ・ホッパー役で出てくるヘレン・ミレンなどがこれをよくサポートしていて、またオフィスを野球のバットでぶっ壊す素晴らしい(?)映画製作者、フランク・キングを演じるジョン・グッドマンが笑いをさらう。
しかしながら一番面白いと思ったのはこの作品の監督は『オースティン・パワーズ』シリーズを撮ったジェイ・ローチだということである。たまに出てくるB級映画への愛着や笑いのセンスは『オースティン・パワーズ』に似ているかもしれない…のだが、食べるためにB級映画の脚本を匿名で書いていたが実はシリアスな良い映画を作りたかったトランボについて、以前はバカコメディを撮っていた監督が真面目な歴史映画を作るという状況を見ていると、どうも監督がトランボにかなり感情移入しているんじゃないのかなと邪推してしまう。
なお、この映画は微妙だがたぶんベクデル・テストはパスしないと思う。クレオとニッキーがボクシングの話をするところでパスするかもしれないのだが、基本的には父親のダルトンの話だと思う。