ウィンザー城のシェイクスピア展

 ウィンザー城で王室のシェイクスピアコレクションが公開されるということで、ウィンザーに行ってきた。

 ウィンザーはこんな街である。

 ギルドホール。

 教会。



 街の真ん中にお城がある。11世紀からこのかた、何度か包囲などされつつ、現在まで人が住み続けている稼働中の城である。






 内装は撮影禁止だったので、ライブラリーで行われているシェイクスピア特設展の写真は撮れなかったのだが、たいへんなお宝だらけである。まず、チャールズ一世の書き込みのあるセカンド・フォリオが公開されているのだが、これはチャールズがかなりいろいろメモをとった形跡があり、おそらく世界のセカンド・フォリオの中でも最も史料的な価値が高いコピーのひとつだろう(ちなみにチャールズの姉であるボヘミア王妃エリザベスもセカンド・フォリオを持っていて、これはアメリカのフォルジャー図書館にある)。さらにヴィクトリア女王関連の文書が多数展示されており、女王がチャールズ・キーンの『ハムレット』にコメントした日記をはじめとして、女王とその家族が実施した宮廷上演関係の絵や文書をたくさん見ることができる。さらにウィンザーということで『ウィンザーの陽気な女房たち』の関連資料を収集しており、この戯曲のクォート版をはじめとして、お芝居に出てくるオークの木の関連資料なども展示されている。これ以外にも貴重なシェイクスピア関連資料や、シェイクスピアの時代に関して背景を理解するのに良さそうな稀覯本などが展示されている。めったに見られないレアな史料がたくさん出ており、保存状態も良いものが多く、シェイクスピアリアンとしては大満足だった。

 王宮内の部屋やチャペルは自由に見学できるが、いくつかツアーに参加しないと入れない場所がある。キッチンツアーは王宮の台所に入れてもらうことができるツアーで、撮影禁止だが大変面白かった。キッチンはかなり大きな部屋で、いたるところに銅の鍋などが飾られているのだが、これは健康上の理由で今は使われておらず、料理人はほとんどの道具を持参するらしい。1992年の火災のせいで改修などが行われたが、ヴィンテージのガスオーヴンだかなんだかは料理人の希望で撤去せず、そのまま修理して使っているそうだ。ウィンザー城の台所は正式な食事会の際は百何十人分ものコースを用意しないといけないのだが、そのわりに冷蔵庫などはかなり小規模らしい。地元でとれた旬のものを新鮮に頂くということにこだわっているので、できるだけ近隣の農家で作ったものやキッチンガーデンのもの、またジビエなどはバルモラルでとれたものを使うことにしており、食材を大量にストックしておく必要がそんなにないのだそうだ。また、百数十人分の食事を用意する時は念のため二百食くらい作って、ゲストに出さない分はスタッフ(食事会の音楽を演奏する音楽家とか)が食べるらしい。

 ラウンドタワーのツアーもある。これは撮影可なのだが、女王の居住区画に向いているほうは撮影禁止。この写真は展望台のところからお城の外側を見たところ。