とにかくモフい!~『ジャングル・ブック』

 ジョン・ファヴロー監督、ラドヤード・キプリング原作の『ジャングル・ブック』を見てきた。

 インドの森で動物たちと暮らす少年モーグリの冒険を描いた作品である。『ジャングル・ブック』は原作に今からするといささか古くさくて人種差別的なところがあり、前回の映画化はかなりそういう要素が全面に出てしまってひどかったらしいのだが(未見)、この映画版ではそういうところがなく、人間であるモーグリ(ニール・セティ)と、モーグリを森から排斥しようとするトラのシア・カーン(イドリス・エルバ)の対決を描くことで、子どもの成長譚にいろいろな違いを持った者たちが共存することの重要性をからめた作品になっている。

 一番の見所はジャングルと動物の質感だろうと思う。モーグリはオオカミのラクシャ(ルピタ・ニョンゴ)の養子になっているのだが、モーグリのきょうだいであるオオカミの子どもたちの毛の質感がものっすごいモフモフだ。オオカミたちが遊ぶ場面はとにかく可愛くて笑みがこぼれてしまう。他の動物の毛もとても綺麗に描かれている。さらに声をあてている役者がかなり似合っており、怠け者のクマ、バルーの声をあてているビル・マーリイとか、モーグリの師であるクロヒョウのバギーラの声を担当するベン・キングズリーとか、キャラにぴったりだ。ただ、大蛇のカーの声をあてているスカーレット・ジョハンソンは妖艶でピッタリだが、ちょっとステレオタイプかな…

 なお、この作品はベクデル・テストはパスしない。とりあえず人間の女性は出ていないのだが、性別がメスである動物はラクシャとカーだけで、このふたりは話さないからである。