ニュージーランドのド田舎で熱くダンスする老人たちのドキュメンタリー~『はじまりはヒップホップ』

 『はじまりはヒップホップ』を見てきた。

 ニュージーランドのど田舎、ワイヘキ島に住む60代〜90代の老人がラスベガスで開かれる世界ヒップホップダンス大会を目指し、健康問題や金欠に悩みつつ特訓する様子を記録したドキュメンタリー映画である。
 のどかな島で老人たちにダンスを教えているビリーを中心にヒップホップのダンスグループ「ヒップ・オペレーション」(「腰の手術」をヒップホップにひっかけている)が結成されるのだが、人口8000人ばかりの大変な田舎だというのに、キャラの立ったカラフルなメンバーには事欠かない。この年代だとダンスできるくらい体力があるのは圧倒的に女が多いため、ばあちゃんが中心戦力のグループになるのだが、見ていて飽きない面白いばあちゃん揃いだ。メイニーは島でも有名人らしいのだが、昔500人もの人を引き連れてピースウォークアメリカに乗り込んだ元平和活動家でシングルマザーだそうで、ビリーに昔の恋の話をして意外な純情ぶりを垣間見せたり、具合が悪くなってこのままだとベガスにいけないかも…というようなドキドキ展開もあったり、なかなか波瀾万丈だ。メイニーの友人で核配備反対運動をやっていたカーラは平和運動家であるにもかかわらず、ベガスで突然銃を撃つ体験ができるお店に出かけて射撃の名手だということが判明するなど、えらいファンキーである。元オペレッタ歌手で年取ってもかなりの美女であるアイリーンはディーヴァらしさを発揮してソロダンスの開発の余念が無い。
 一方でちょっと切ないエピソードもある。テリーは初恋の人だった夫に今でもぞっこんで傍目から見てもうらやましいくらい今でも愛し合っているのだが、夫は認知症で体力もかなりなくなっている様子で、施設に入っている。夫になかなか会えないテリーはどうもかなり寂しいみたいで、ダンスに打ち込んで気を紛らわせているようだ。
 老人たちは本土の若者たちのダンスチームなんかとも交流しており、新しいことをどんどん取り入れて、年をとってもものすごく人生を楽しんでいる。見ていて元気が出る作品だ。老人たちの芸術活動を記録しているという点で雰囲気がちょっと『ヤング@ハート』に似ており、この手の映画が好きな人にはすごくオススメしたい。

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