いろいろイマイチ〜『X-MEN: アポカリプス』

 ブライアン・シンガーの『X-MEN: アポカリプス』を見てきた。

 封じられていたはずの古代エジプトの強力なミュータント、エン・サバー・ヌール(オスカー・アイザック)が復活し、マグニートーことエリック(マイケル・ファスベンダー)をはじめとする強力な4人のミュータントを誘惑し、世界をわがものにせんと企む。いろいろあって、プロフェッサーXことチャールズ(ジェームズ・マカヴォイ)やミスティークことレイヴン(ジェニファー・ローレンス)たちはこれに対抗しようとするが…

 全体的にずいぶんとっちらかっていてイマイチな作品だったと思う。まず、冒頭の古代エジプトの場面でエン・サバー・ヌールが反乱により封じられるのだが、この場面の撮り方が雑すぎて、このピラミッドはいったいどういう建築でなぜ壊れるのかとか、誰が何をしてるのかとかがあまり整理されておらず、派手なだけであまり盛り上がらない場面になっている。ウルヴァリンがちょっとだけ出てきて破壊活動するくだりは物語の展開に一切貢献しないのでまるまるいらない。また、基本的にエリックは前作の残りカスみたいな状態になっており、それなのに妻と娘を殺されてかなり精神状態がヤバく、いくらなんでもいろいろぶっ壊しすぎである。マイケル・ファスベンダーが演技頑張ってるからまあ見られるようなものの、あんなに自暴自棄になって地球を危機に陥れておいて、「ごめん、学園の再建やるから許して」みたいなオチはないのでは…さらに工場の場面ではずっとポーランド語らしき言語で話しているのに、なぜ最後だけ英語なんだろう。

 ただ、私は前作からクイックシルバーの危険をナメてる感じが気に入っているのだが、今作もクイックシルバーは良かった。クイックシルバーが本気を出すと絶妙な選曲の音楽(今回はユーリズミックスの「スウィート・ドリームズ」)が流れて、クイックシルバーが知覚している時間の動きになるところは待ってましたという感じだ。あと、全体的に女性がけっこう活躍する。ベクデル・テストはたぶんレイヴンとジーンが話すところでパスする。レイヴンは主役級で、ジェニファー・ローレンスの演技がこなれていることもあり、カッコいい。