甘ったるい駄作~ガートルード・ベルの伝記映画『砂漠の女王』(仮題、英語タイトルQueen Of The Desert)

ヴェルナー・ヘルツォーク監督、ニコール・キッドマン主演のガートルード・ベルの伝記映画『砂漠の女王』(仮題、英語タイトルQueen Of The Desert)を見た。

 第一次世界大戦期にアラブ地域で活躍し、イラク建国の立役者となったイギリス人女性ガートルード・ベルの半生を描いた伝記映画である。
 …のだが、はっきり言って全然つまらない。エピソードがぽんぽん出てくるだけで盛り上がりに欠けるし、さらにガートルード・ベルの人生で面白そうなところがほぼ省略されてただのロマンス映画みたいになっている。若い頃ならどうやって語学力や交渉力を身につけたのかとか、資金をどうしたのかとか、社会的な抑圧とかを描かないと面白くならないと思うのだが、なんか彼氏が死んだらその後すぐ数年後に飛んで旅をしていることになっており、面白そうなところは全部省略か…と思ってしまった。またまたイラク建国のくだりもファイサルとちょっと会談するだけで終わりで、もっとイギリスの汚い外交手段やベルの交渉能力を描かないと全然、面白くならないと思うのだが、そのへんさらっと流してしまっている。全体的に恋愛に重きを置きすぎていて、甘ったるい映画だった。あと、この映画は厳密に言うとベクデル・テストをパスしないのだが(女性同士の会話はたくさんあるが、ほぼ男性について話である)、これはたぶん恋愛ばっかり描いていることに関係ある。