英米中年王子そろい踏み〜『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』

 『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』を見た。元タイトルはBridget Jones' Baby(『ブリジット・ジョーンズの赤ちゃん』)なので、ひどい日本語タイトルだと思うが…

 43歳になったブリジット(ルネ・ゼルウィガー)は最愛の人だったはずのマーク(コリン・ファース)と別れて一人暮らしをしていた。ところがひょんなことからフェスで会ったアメリカの金持ち、ジョン(パトリック・デンプシー)と関係を持ち、さらに一週間後にマークともはずみで関係を持ってしまう。そこで使ったコンドームがなんとボロでブリジットは妊娠。マークとジョンの二人が子どもの父親の座を狙って争うことに…
 
 まるでダメ中年女性の夢のファンタジーみたいな展開である。私はマークのキャラはあんまり好きじゃ無いが立派な男性であることはたしかだし、さらに今回新キャラのジョンを演じるのはなんと私が大学生の時から「中年王子」の役ばっかりやってるパトリック・デンプシーである。白衣の王子様ことデンプシー演じるジョンは婚活サイトをやってる気の良いアメリカ男の役で、英米の素敵な中年男代表みたいな連中が、人格とユーモアについては素晴らしいがとんでもないドジであるブリジットの愛を争うなんて、まったくどんなファンタジーよりもあり得ないと思う。赤ん坊の父親がどっちかわからないということを知ったマークとジョンの反応もあまりにオトナすぎてちょっと信じがたいくらいだ(びびりまくるマークの態度のほうが自然だとは思うが)。

 展開についてはちょっとファンタジーすぎるところもあり、またブリジットがジョンを番組に呼ぶところはいくらなんでもヒドすぎるんじゃないかと思ったりもするし、ブリジットがクビになった後仕事をどうしたのかがはしょられているなどいくつかプロットですっ飛ばしすぎのところはあるのだが、最後はけっこうちゃんと明るい雰囲気で落としている。笑えるところもたくさんあるし、女性同士の会話なんかは気が利いている(ベクデル・テストはパスする)。相変わらず凄い変人であるブリジットのお母さんが選挙に立候補し、シングルマザーになる覚悟を決めたブリジットの話を聞いて政策を変えるところとかは母と娘の絆がちゃんと描かれていていいと思う。グランピングとかプッシー・ライオットみたいなバンド(マークが弁護している)とか、いろいろ現代のトレンドも取り入れられている。