初めてのテニミュ〜「ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学vs六角 大千秋楽ライブビューイング」

 「ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学vs六角 大千秋楽ライブビューイング」を見てきた。テニミュは初めてだったのだが、専門の研究者ほか数名とプチ研究会形式で行ってきた。事前に近くのカラオケボックスでミニレクチャー、終演後に食事をしながらフォローアップという至れり尽くせり研究会である。

 私は全く『テニスの王子様』に詳しくなく、そもそもタイトルロールが誰だかすら知らなかったのだが、事前解説もあり、けっこう楽しめた。話は明るく楽しい感じだかそんなに起伏はなく、前回青春学園(タイトルロールの越前リョーマが所属している学校)に負けた氷帝学園の生徒たちがリベンジを誓う一方、青春学園は千葉の六角中学校チームと対戦して勝利するという内容である。

 演出なんかはわりと洗練されており、とくに照明を使ってテニスの球の動きを表現するところはさすが舞台という感じである。試合中はネットと役者が両方ともかなり動くのだが、ネットはステージを回転させるんじゃなく、人力で動かしていた。試合中の選手の内心はほぼ全部傍白で表現されるのだが、位置によってはお客のほうを向かず、客席に背を向けて傍白する演出があったりするのが面白い。カメラワークはけっこうちゃんと表情と動きをとらえていてわかりやすかったと思う。なお、大人はほとんど出てこない。幕間前の氷帝学園のコーチが全員と話す場面もコーチは音声だけで実際に舞台には上がらない『コーラスライン』みたいな演出だった。

 若手のパフォーマンスはかなりデコボコがあり、けっこう上手いと思われる役者と歌や踊りがひどく不安になるレベルの役者が混在している感じだった。総じて歌のレベルはそんなに高くはない。ただ、氷帝学園の部長である跡部景吾役を演じた三浦宏規は、歌はまあそんなにうまくなく、台詞回しはまあまあといった感じだがダンスが大変うまく、身のこなしの美しさとステージプレゼンスが段違いだった。プロを目指せるレベルのバレエダンサーだそうで、さすがに子どもの頃から体系的に踊りを習っている人は違うと思った。跡部のキャラじたいはなんかわがままなおぼっちゃんみたいな感じであまり好きではないと思ったが、ダンスを見ているだけでわりと面白かった。また、「俺様の美技に酔いな」という台詞は漫画原作でないとあり得ないだろうと思った。こういうぱっと聞いただけではわかりにくい漢語の台詞はもともと舞台でやることを想定して書かれた台本ではなかなか出てこない。