アメリカ政治の奇々怪々〜『ウィーナー 懲りない男の選挙ウォーズ』(ネタバレあり)

 ドキュメンタリー映画ウィーナー 懲りない男の選挙ウォーズ』を見てきた。

 アメリカの政治家、アンソニー・ウィーナーがニューヨーク市長選に立候補したときの様子を撮ったドキュメンタリー映画である。ウィーナーは将来を嘱望される下院議員だったのだが、自分のパンツの写真を妻以外の女性に送っていたことがバレて議員辞職。心機一転、2013年のニューヨーク市長選に立候補するが、さらに露骨なエロ写メールを送ったことがバレて人気急落…

 見た感じウィーナーは政治的にはけっこう有能そうだし、政策も比較的まともそうに見えるので、最初はちょっとしたことでひどく糾弾されている気の毒な人だと思って見ていた。妻以外の女性にエロ写メを送るのは全く褒められたことではないが、成人同士で合意のあることにとどめているならば女癖の悪さは政策とは分けて考えたほうがいい。ところがこの人、エロ写メ問題で辞職し妻(ヒラリー・クリントンの側近)とも離婚の危機に陥ったのにどうも不特定多数の女性とのエロメールが全くやめられないらしいということがわかってきて、見ていてだんだんもうこの人はお医者様の助けが必要なレベルなんじゃないかと思えてくる(それはそれで別の意味で気の毒な人ではあるのだが)。1回や2回ならまあそういうこともあるかもねで済むと思うのだが、これだけ繰り返していてやめられないとなると明らかに依存してて、発言などを見ていてもいささか精神が不安定になっているようでカウンセリングとかしたほうがいいと思ってしまう。映画には出てきていないのだが、映画公式サイトの説明によるとなんでもこの映画撮影が終わった後に未成年者とエロメールしていたことがわかったそうで、もう完全に病気だろう…そしてこのウィーナースキャンダルの調査の時にヒラリーのメール問題がわかったそうで、1人の男の精神不安定と下半身のせいで本当にアメリカ人はえらい迷惑を被ることになったんだなと思ってしまった。

 そういうわけでウィーナーは市長選でボロ負けする。しかしながら不思議なのは、ウィーナーはエロメールで失脚したのに、もっとひどいのが今アメリカ大統領の椅子に座っているということである。途中でドナルド・トランプが出てきてウィーナーは変態だからやめるべきだみたいなことを言うのだが、合意のもとで変なメールをしていたウィーナーよりもセクハラで訴訟を起こされてるトランプのほうが数倍、問題あるに決まっている。全くアメリカ政治は奇々怪々である。