ゲッコーパレード本拠地公演、戯曲の棲む家vol.6『ハムレット』を見てきた。蕨市にある旧加藤家住宅という古民家で上演される『ハムレット』の翻案である。去年の12月の鷺ノ宮の古民家でも『ハムレット』の翻案を見たのだが、最近は古民家での上演が流行っているのだろうか?ただ、前見た作品はちゃぶ台が置かれた居間が舞台になっていてわりとシンプルで広く空間を使っていたのだが、今回のプロダクションはごちゃごちゃいろんなものが置かれた台所が舞台で、見た目の印象はかなり違う。
全体的に『ハムレット』をずたずたにカットして時系列バラバラに組み合わせ、キャスト3名+客から見える黒子1名でとっかえひっかえいろんな役をやりながら上演するというものである。キャストは固定された役を演じるのでは無く、いろんな役の台詞を読む。こういうことをするとたいていは目も当てられない惨状になるのだが、このプロダクションは意外にうまくやっていてそれだけでびっくりした。そんなに物凄く面白いというわけではないのだが、最後までちゃんと見られる作品になっている。このちゃんと最後まで見られるクオリティの原因は、『ハムレット』を相当にバーレスク化(いつも私が見てるストリップティーズのほうじゃなく、古典などを滑稽にカリカチュア化したほうのバーレスク)しているからである。ボロボロの訳本を片手に演じたり、他の役者が台所で料理を作ったりしているところで他の役者が真剣な場面を演じたり、そうかと思えば台所の棚から役者が出入りしたり、大まじめな台本が相対化されてなんだかおかしい。とくに笑えるのは原作のクライマックス、ハムレットがクローディアスを殺すくだりで、ここは完全なドタバタ劇で笑える。ただ、この後のシークエンスは熱量が下がってかなりたるんだので、これで終わってもいいんじゃないかと思った。
しかし、古民家での『ハムレット』を2本見たが、どっちも最初から最後までストレートに上演することは想定していないみたいだ。本当は古民家でぶっ通しの上演を見たいと思うのだが、まあ椅子の設置とかでちょっとキツいのかな…