歌と踊りはほぼいらない〜座・高円寺2『から騒ぎ』

 座・高円寺2でタイプスプロデュース公演『から騒ぎ』を見てきた。前の『ロミオとジュリエット』よりはマシになったが、それでもイマイチなところが多い。

 まず、初日ということもあってか台詞がつっかえたり、もたついたり、間がおかしかったりするようなところが多い。笑いのテンポも前半はうまくいっておらず、後半でやっと調子が出てきたという感じだ。あと、役者によっては滑舌・声量がイマイチで、後ろを向いてしゃべったりする場面で台詞が聞こえづらくなるところがある。全体に台詞回しにもう少しこなれた感じが欲しい。

 最後に全員で踊るところ(ここは悪くなかった)以外の音楽はほぼ全部いらない。恋の罠にかかる前のビアトリスがひとりでラブソングを歌うところがとくに最悪で、からっとしたビアトリスのキャラクターに全くあっておらず、ひどくセンチメンタルで話をつまらなくしている。この芝居の面白さは、それまで全く恋に落ちそうもなかった明るくプライドの高い2人が急に恋に落ちてあたふたするギャップなので、ビアトリスが恋に落ちる前から恋歌なんか歌ってたら「なんだ実は恋がしたいんじゃん」みたいになって著しく面白さが減少する。冒頭のダンスも必要か疑わしい。あと、盛り上がる場面で急にバーンと音楽がかかる演出は安っぽく見えるだけだし、あと全体に台詞回しがこなれていない役者がいるところでこれをやると台詞が聞こえづらくなるので、やめたほうがいい。