招かれた客、と思ったら…?!?!人種差別を扱ったシャープなホラー『ゲット・アウト』(ネタバレあり)

 ジョーダン・ピール監督『ゲット・アウト』を飛行機内で見てきた。

 主人公は白人のガールフレンド、ローズ(アリソン・ウィリアムズ)の両親に会うことになっているクリス(ダニエル・カルーヤ)。クリスはローズが親に対して自分がアフリカンだということを教えていないらしいのを知って不安になるが、親友である空港保安員のロッド(リル・レル・ハウリー )にイヌの世話を頼んで出かける。ローズの両親はにこやかにクリスを迎えるが、どことなく家の様子がおかしい。家にはアフリカ系の使用人がいるのだがなんとなく雰囲気が変わっていて、またローズの母であるセラピストのミッシー(キャスリーン・キーナー)は禁煙のためと言ってやたらクリスに催眠術をかけようとする。居心地の悪いクリスだが…

 冒頭は『招かれざる客』みたいな始まり方で、異人種間結婚を主題にした家庭ものドラマみたいに見えるのだが、どんどん話の展開がホラーっぽくなる。一方でコミカルな演出も多く、陽気で友達思いだがちょっと大げさなロッドがいろいろ笑いをもたらしつつカッコよくしめてくれる。ちょっとだけ出てくるイヌもめんこい。話はアメリカの人種差別を鋭くついたもので、政治的には人種差別に強く反対しているような白人たちが内心、実はアフリカ系の人々を軽く見ているところがあるということを諷刺したものになっている。この作品は日本公開が未定なので詳しく内容に立ち入ると激しいネタバレになるのであまり細かいことは言えないのだが、こんなアイディアでアメリカ社会を諷刺するとは…と、シャープな発想に感心した。

 なお、この作品はベクデル・テストはパスしない。女性人物は何人も出てくるのだが、2人だけで会話していて観客に聞こえるところがあまりない。