ベテラン名優が揃って楽しい、銀行大嫌い物語〜『ジーサンズ はじめての強盗』(少しネタバレあり)

 『ジーサンズ はじめての強盗』を見てきた。

 長年の親友であるジョー(マイケル・ケイン)、ウィリー(モーガン・フリーマン)、アル(アラン・アーキン)は勤めていた会社が合併してしまい、年金がパアになったことに怒って銀行強盗を計画する。ジョーは自宅を抵当にとられ、ウィリーは病気で金のかかる手術が必要、アルは最後までしぶっていたがガールフレンドができたことから老後にもうひと花咲かせたいと思って計画に協力を決める。頭と意欲は十分だが、体中にガタがきていて全く素人の老人たちに勝ち目はあるのか…

 脚本はけっこうツッコミ所があり、面通しの場面で少女が見逃してくれるところとか、ウィリーの病気の描写(強盗の最中に急に悪化するが小康状態になる)とかは相当強引だ。さらにアニー(アン・マーグレット)がアルを誘惑するところはセリフがけっこういい加減で、アン・マーグレットの年老いても旺盛な色気に頼りすぎている気がする。ベクデル・テストはパスしない(惜しい箇所はあるが)。

 とはいえ、銀行があくどいことばかりしている時代にはやっぱり貧乏老人が銀行をやっつける話は痛快だし、また出てくる役者がベテラン揃いで笑いのツボを心得ているので、ちょっと強引でも気持ちよく見ることができる。主演の3人はもちろん、年とってもいっこうに枯れた感じの無いコミカルだが色っぽいアラン・アーキンアン・マーグレットカップルぶりとか、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドクがそのままじいさんになったようなボーっとした老人会会長を演じるクリストファー・ロイドとか、全員達者な芸を見せてくれる。居心地良く最後まで見られるコメディだ。