だいたい良かったが、やりすぎなところも〜劇団AUN『間違いの喜劇』

 長谷川志演出、劇団AUNワークショップ公演『間違いの喜劇』を見てきた。

 1時間45分の非常にスピーディな演出で、後部のドア以外ほとんど何もないステージで若い役者をたくさん動かしてドタバタ喜劇を盛り上げているところは良かった。アンティフォラス兄弟とドローミオ兄弟はそれぞれ違う役者がやっているが、それぞれ性格が違う中にも仕草とかに似たところがあり、けっこう説得力がある。とくにアンティフォラス兄弟は性格がけっこう違い、エフェソスのアンティフォラス(河村岳志)はもともと気が短そうだが、シラクサのアンティフォラス(松尾竜兵)はもうちょっと受け身な感じの性格だ。一方でドローミオ兄弟は立ち居振る舞いとか動きのクセがわりとよく似ているように思った。ドローミオ兄弟は体を張って笑いをとりにくる演出で、なかなかダイナミックだ。

 一方でちょっと大げさ、やりすぎではないかと思えるところもあった。イージオンが出てくるところはちょっとセンチメンタルに盛り上げようとしすぎでくどくなる傾向があり、最初の話のきっかけを語るところはちょっともたついていると思ったし、再会するところも若干テンポが悪くなっていると思う。この場面については。細かいところなのだが、エフェソス公爵がアンティフォラス兄弟に離れろと言う場面はもっとアンティフォラス兄弟をダイナミックにくっつけてわざとらしく離さないと笑いが減るので、そういう細かい役者の動きもちょっとテンポの悪さを作っていたように思う。あと、ドローミオの妻ネルがなんかブラックフェイスみたいな感じで出てきたり、白塗りの悪魔払い師が出てきたりするところは正直やりすぎだと思った。