前より洗練され、パワーアップしたバーレスクアクト〜ブリーフス&ハウス・オブ・バーレスク2.0

 夏のロンドンの風物詩、アンダーベリーフェスティバルに行ってきた。サウスバンクの野外催事場にテントを設置して行うフェスだ。
 まずはオールメールバーレスクサーカス、ブリーフスの新演目、Briefs: Close Encounterに行ってきた。ブリーフスはオーストラリアのボーイレスク集団で、エアリアルシルクなどを取り入れた大胆なショーが売りだ。二年前に見て、ショーは良かったけど客いじりにドン引きした覚えがあるのだが、今回は客いじりが以前より洗練されていて、クジがあたった観客を舞台にあげて美容院のショーをするというもので、楽しく笑えて良かった。今回のショーはSFをテーマにしたもので、ドラァグやサーカスなどを組み合わせた質の高いものだった。とくに白衣のパフォーマーが科学実験(泡を作ったりする)っぽいことやルービックキューブ、ジャグリングなどをしながら脱ぐナードレスクっぽいショーが良かった。なお、オーストラリアは現在同性婚に関する郵便投票を実施中なのだがその前に議会でモメたりいろいろ紆余曲折があったそうで、ショーの司会であるヒゲドラァグのフェズがそのことを話して「オーストラリアは同性婚のことでひどいありさまだけど、今日のお客さんたちみたいに開けた人から声援をもらうと本当に嬉しい」と言っていた。

 その後テンペスト・ローズ主宰の『ハウス・オブ・バーレスク2.0』を見た。これはほぼ三年続けて見てると思うのだが、去年までとはがらりと変わったやはりちょっとSF風味を取り入れたショーだ。さらに去年に比べるとえらく政治諷刺が強烈になっている。幕間には『2001年宇宙の旅』のハルみたいな設定の人工知能が背景にうつされてドナルド・トランプやフェイク・ニュースをバカにするような話をするし、演目についてもそうだ。とくに、ボニー・ノッカーズが白くて可愛いドレスを着て出かけたらいきなり生理で大出血が始まるというショーはタンポン税を痛烈に皮肉っており、これはとても野心的で面白いと思った。さらにテンペスト・ローズがジプシー・ローズ・リーの「ストリッパーの教育」にオマージュを捧げながら、「ジプシーは女がセクシーで賢いなんておかしいと思われる時代に反抗したの!バーレスクはサイズや肌の色なんか関係なくみんなキレイだってこと!理想を押しつけてくる連中には全部Fuck that shit!と言いましょう!」みたいな激しいフェミニストアジテーションかましながらストリップするという超セクシーで面白おかしいショーをやっており、これもサイコーだった。他の演目も綺麗で面白く、ベッツィー・ボンボンはプリンスの「パープル・レイン」を使った雨がテーマの華麗なショーをやっていたし、デビー・ノワールはジョゼフィーン・ベイカーのダンス・ソヴァージュ(バナナのダンス)のオマージュをやっていた。とにかく大満足のバーレスクショーだった。
 ↓場所が悪くてあまり写真がとれなかったのだが、これは最後の演目。


 川のあたりはこんな感じ。