1950年代から7世代のゲイを7つの短編で〜キングズ・ヘッド・シアター、Outlaws and In-Laws

 キングズ・ヘッド・パブの劇場でOutlaws and In-Lawsを見てきた。もともとキングズ・ヘッドはクィア系の演目に強いのだが、この作品は劇場のクィアシーズンの一環で、同性愛合法化50周年を記念していつもよりたくさんゲイに関する作品を上演するということだ。Outlaws and In-lawsは1950年代から2010年代まで、70年にわたるイギリスのゲイのそれぞれの世代を7作の短編戯曲で描くというもので、非常に野心的な試みである。それぞれの短編は違う作者が書き、6人の役者で全部を上演する。

 全体的には面白い作品が多かったと思うのだが、劇場の構造上ちょっとどうかという演出もあった。一番いいと思ったのは、アフリカ系アメリカ人の少年とスキンヘッドの少年が恋に落ちる切ない初恋ものジョナサン・ケンプ"Reward"だったのだが、これは舞台を完全に二つに分けて両方で話が展開する演出がある。左側は暴力的な場面なのに右側は静かな台詞なので、左側の席に座ると右側の台詞がほとんど聞こえなくなる。これは劇場の構造上仕方が無いのだが、もうちょっとなんとかしてもいいのではと思った。気の利いた小道具(アフリカンの少年スパイクは『闇の左手』を読んでる)!など面白い掌編だったので、ここの演出は残念だ。1950年代の女王の戴冠を舞台にしたフィリップ・ミークス"Happy and Glorious"でも、舞台の右側だけを使ってやるところがあり、ここはかなり狭苦しい印象を受けた。

 ちなみにトファー・キャンベル"Brothas"は2000年代の黒人ゲイ向けデートサイトを扱ったもので、これは英語が大変難しかった。チャットを舞台上のスクリーンに映すのだが、セックスに関する略語ばかりで(たまに無修正チンコ写真とかも出てくる)、文脈で推測してもせいぜい半分ちょっとしかわからなかったと思う。ネット用語はやはりわかりづらいものがある。