たった5人で恋のもつれを〜パンタルーンズ『夏の夜の夢』

 シュルーズベリのセヴァーン劇場でパンタルーンズ『夏の夜の夢』を見てきた。有名なシェイクスピア研究者スティーヴン・パーセルがブレインについている劇団で、この『夏の夜の夢』はたった5人でいろんな役をとっかえひっかえやりながら上演するというものだ。最初の場面は6人の人物が出てくるので、ヒポリタ役は観客にかわりにやってもらうなどという工夫をしている。役者は何役もこなすばかりではなく、実際に舞台上で楽器の生演奏もする。芝居が始まる前には役者たちがみんなでチョーサーネタのお色気ソングを歌っていたが、「大丈夫、本編はファミリーフレンドリーですよ!」とか言っていて、たしかに過激な演出などはなく、楽しくて理解しやすい子どもも喜びそうなプロダクションだった。

 野外上演を想定した演出で、舞台の真ん中に小さな台を置いて芝居小屋っぽい雰囲気を出している。ティターニアが眠る場面などは全部ここで演じられている。現代の衣装を使った非常にシンプルな演出だが、ツボはおさえている。劇場の客席も使って役者が動き回るエネルギッシュな上演で、笑うところもたくさんあり、さすがに5人でこれをやるのはキツいなぁ…と思うところもあったし(衣装替えが間に合わないので役者がしゃべって間を持たせるところとかもあった)、明らかに野外上演っぽい演出が室内だとちょっと効果を減らしてしまうというところもあったのだが(役者が客席の中を駆け回ったりするのは野外のほうがダイナミックだろう)、全体としては面白かった。たまに諷刺っぽいアドリブジョークもあり、ボトムがへそをまげて芝居に出ないとか言い出すところでは「イイ男!」「ジェレミー・コービン!」とか声をかけておだてていたり(?!)、時事ネタもけっこう取り込まれている。