チェスターの新しい劇場ストーリーハウスにて『フットルース』

 チェスターにオープンしたばかりの総合文化施設ストーリーハウスでミュージカル版『フットルース』を見てきた。

 こちら、図書館、映画館、劇場が一緒になった施設で、図書館にはブックカフェも併設。古い映画館を改装したものらしい。


 この手の施設は半端なものになってしまうことも多いのだが、すごく感じが良い。






 『フットルース』ミュージカル版のほうは、映画の曲を使ってはいるものの、映画よりは話の細かいところをカットしてすっきりさせており、映画よりは散らかった印象が少なくよくまとまっていると思う。キャストは全員舞台で実際に楽器を演奏しているのだが、教会の場面ではわざわざ演奏しなくていいんじゃないかとか、ちょっと生演奏にこだわりすぎと思えるところもある。また、もとの映画の有名曲はだいたい使われているのに"Never"だけは使っていない(入れにくかったのかな?)のはちょっと物足りなかった。ケニー・ロギンズとかの曲だとけっこう歌うほうも勢いでごまかせるのだが、"Almost Paradise"みたいにじっくり聞かせる曲でもともとうまい歌手を使ってたやつ(原曲はハートのアン・ウィルソンとラヴァーボーイのマイク・レノ)だとちょっとキツいかもと思うところもあった。それからレン役は頑張っているのだがやはり映画のケヴィン・ベーコンほどはカリスマがなく、やっぱりあの映画はベーコン力で保っていたのだな…という気がした(鼻の穴が上向いてて顔はそんなにハンサムってわけではないのだが、ベーコンの役者としての魅力は若い時から容姿なんかどうでもよくなるくらい凄かった)。ウィラード役は台詞がどれもユーモラスで良く描けていて良かったと思う(ふだんはギャレス・ゲイツがやってるのだが、この日は日程の関係で代役)。全体としてはまあ楽しいけどふつうかなと思うのだが、ただ「フットルース」のテーマにあわせて足だけが映る有名な映像を舞台でも実際にやっていたのは良かった。レンとエーリアルだけが舞台の前面におり、その後ろに幕を地面から少しだけ上で止まる状態まで下ろして、さらにその幕の後ろに多数のダンサーを配置し、レンとエーリアルだけは全身で踊っているのが見えるが、それ以外のダンサーは全員、足の動きしか見えないという演出をしている。これはけっこう面白い。