ゴシップと芸術〜『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』

 『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』を見てきた。

 史上最年少でロイヤルバレエのプリンシパルになったセルゲイ・ポルーニンのドキュメンタリーである。私はバレエのことは全く知らないのだが、けっこう面白かった。ポルーニン自身がカリスマ的なバレエの大スターなので踊りを見ているだけで引き込まれるものがあるし、破天荒な言動がちょっとゴシップ的な興味をかき立てる一方、自由なインスピレーションを常に求めている芸術家としての葛藤や挫折、復活の様子もわかる。しかし神童だったポルーニンをバレエ学校に行かせるため、父親と祖母が海外に出稼ぎに行き、それをきっかけに家庭が崩壊したというのはまったくつらい話だ。ポルーニンはまったくの子どもで責任が無いのに彼のせいで家庭がバラバラになったということで、悪ガキになったり精神が不安定になったりするのも当然だと思った。

 なお、この映画はスティーヴ・クーガンがやっているプロダクション、ベイビー・カウが作っている。クレジットにもクーガンの名前があってちょっとびっくりした。ベイビー・カウ、こんな映画も作ってたんだ…