2.5次元と二次創作の時代にこの芝居は機能するのか?『作者を探す六人の登場人物』

 神奈川芸術劇場ピランデッロ『作者を探す六人の登場人物』を見てきた。長塚圭史が演出を担当している。

 タイトルどおり、作者に捨てられたという6人の登場人物が出てきて、ピランデッロの旧作を稽古している演出家に作者になってくれと頼むというものである。最初は馬鹿げていると思った演出家はだんだんこの登場人物たちの話が面白いかもと思うようになるのだが、登場人物たちは役者が自分たちの役を演じるというのを受け入れなかったり、いろいろトラブルが発生する。

 演出とか演技は非常に良く、美術も劇場の雰囲気によく似合っているし、舞台上に舞台があるという設定をよく生かした作りだったと思う…のだが、全体的にいまいちこの芝居じたいのコンセプトは現代に合うのかっていうことがよくわからなかった。もともとは1921年に初演されたそうなのだが、2.5次元舞台とか二次創作の時代である2017年に、こういう新しい作者を探してさらに文句までつける登場人物…という展開が合うのかよくわからない。今の時代に作者に捨てられた登場人物が新しい作者を探したら、新しい作者に作り変えられて二次創作となるんじゃないだろうか…