ストレートに面白い芝居〜イキウメ『散歩する侵略者』

 シアタートラムでイキウメ『散歩する侵略者』を見てきた。

 話はわりと映画に近く、概念を奪う宇宙人たちと人間のかかわりについての話なのだが、終わり方がもうちょっと余韻のあるものになっている。宇宙人の侵略以外に隣国と戦争もいつのまにか始まっているらしいという設定で、映画よりもかなりアクチュアルな設定だ。この設定のおかげで、宇宙人の侵略を環境問題とか貧困問題みたいな社会全体が抱えているより大きな問題のメタファーとして読むことができ、非常に政治的な作品になっていると思う。反戦運動をはじめるまるおさんが映画と違って愉快なおじさんになっているところとかも良い。

 台本がよくできているのはもちろん、セットのスロープの使い方がとても上手だ。地割れみたいな床にスロープがあるという美術で、このスロープをうまく使って人物同士の関係や設定を表している。笑うところもふんだんにあり、大変面白い作品だ。ただ、ストレートにすごく面白くて感動的な芝居なので、ちょっと人に感想を説明しづらいというか、ひっかかりをもとにレビューを書くのがちょっと難しいところがあると思った。