いくつか疑問はあるが、楽しい上演〜『ロッキー・ホラー・ショー』

 池袋サンシャイン劇場で『ロッキー・ホラー・ショー』を見てきた。河原雅彦演出で、池袋サンシャインに来る前には六本木のブルーシアターでさよなら公演として上演されていた。この演目は一度、グラスゴーで見たことがある。

 ステージの二階部分奥にバンドがおり、下にセットがあるのだが、役者が演技スペースとして二階部分を使用することもある。また、バンドで演奏をしているRolly(狂言回し)と武田真治(エディ/スコット博士)は役者として出演もするので、バンドと役者の境界はけっこう曖昧だ。セットは冒頭の教会を示す背景が照明によってゴシック風のお屋敷に変わったり、ちょっと工夫が見られる。

 いくつか疑問な点はあり、音響の問題なのか訳詞の問題なのか、歌詞はほとんど全然聞こえない(最初は日本語なのか英語なのかもよくわからないくらい歌詞が聞こえにくかった)。まあ、シュールな話なので聞こえなくてもそこまで問題は起こらないかもしれないが…あと、ロッキーはパンツ一丁で出てくるべきだと思うのだが、やたらピチピチの長いズボンを履いて出てきていた。

 とはいえ、全体的には楽しい上演だったし、お客さんを参加させようという努力はすごくちゃんとやってる。ブラッド役は小池徹平、ジャネット役はソニンなのだが、この2人のノリはそのまんまなぎだ武と友近のディラン&キャサリンみたいな感じで、時々英語が入る過剰に大げさな台詞回しが特徴だ。役者の個性(2人とも容姿が可愛くてかつまともな役者なので、普通にやるとたぶんリアルになりすぎる)と、イギリス人が書いたアメリカのバカ話を日本で上演するという状況を考えるとたぶんこの演出は効いてると思う。もともとが昔のSFなどをパロった人工物としてのアメリカについての話なので、やたら過剰にするのは正解だ。他の役者陣もみんなはじけてるし、二階席はちょっと狭くて皆座っていたが一階は踊り回っている人とかもいたし、盛り上がっていた。