空から女の子が降ってくるだけの話にしてはこねくり回しすぎ〜『パーティで女の子に話しかけるには』(ネタバレあり)

 ジョン・キャメロン・ミッチェルニール・ゲイマンの作品を映画化した『パーティで女の子に話しかけるには』を見てきた。

 パンクロックの時代のクロイドンを舞台に、地元のパンク少年エン(アレックス・シャープ)が宇宙からやって来た少女ザン(エル・ファニング)と恋に落ちる物語である。この恋物語に旅をしている宇宙人の団体の驚くべき習慣とか、地元のパンクスのボスであるボディシーア(ニコール・キッドマン)とか、いろいろな人が絡んでくる。

 ザンを演じるエル・ファニングはとにかく魅力的だし、ボディシーアを演じるニコール・キッドマンとか、宇宙人のPTワインを演じるマット・ルーカスとかキャスティングは良い。ザンとボディシーアが会話して(ベクデル・テストはこれでパスする)ザンがバンドのシンガーだと勘違いされるあたりとかはちょっとおかしみもある。サンディ・パウエルの衣装を使ってパンクの時代の雰囲気を表現するのも悪くはない。しかしながら、全体的に空から女の子が降ってくるだけの話をこんなにこねくり回して面白いかな…と思った。オチがザンの処女受胎で、エンも童貞のまま父親になっちゃうあたりはひねりがあるのだが、落とし方が母性推しにすぎる気もした。よくあるマニック・ピクシー・ドリーム・ガールの話を避けようとしていろいろ煩雑になりすぎたような印象がある。