上野の森美術館「世界を変えた書物」展

 上野の森美術館で「世界を変えた書物」展を見てきた。金沢工業大学の有名な「工学の曙」文庫のコレクション展である。

 

 とにかく展示されている本は貴重書ばかりで、コペルニクスの『天体の回転について』、ガリレオ・ガリレイ星界の報告』、ニュートン『プリンキピア』をはじめとしてケプラーやらフックやらアインシュタインやら、科学の歴史に大きな影響を与えた文書ばかりで、保存状態も良好そうなものが多い。展示方法についても、できるだけ見映えのよさそうな図があるページなどを見せるやり方で、しかも写真撮影可である。

 

 ただ、けっこう一般向けに見せようとしているわりにはそれが振り切れてなくて中途半端になっている気がした。展示方式の不満な点としては、まずパネルの説明が少ないというのがある。ガラスケースの中に非常に小さいタイトル+α程度の解説がついているという展示だったのだが、大変混雑していたこともあり、ケースの外の上の壁あたりに大きいパネルをつけて、どこにどういうものが展示されているのかもっと外目からわかるようにしたほうがよいのではないかと思った。さらに展示構造上、人が滞留しすぎるというのがある。わりと狭いところで写真を撮るとますます混み合うので、写真はやめにするか、もっと場所を広く使って、人気のありそうな本についてはガラスケースを離して展示するなどの工夫をしたほうがいいのではと思った。さらに、見映え重視のわりには、デジタル技術を用いたインタラクティヴ展示など、本を保存しながら公開できるような新しい技術を使ったオシャレな展示がない。デジタル化した稀覯本を触ってめくることができるインタラクティヴ展示とかがあればもっと見映えがするのにと思った。

 

 また、これは完全な私見なのだが、一般向けの展示にするならもっと金の話をしたほうがいいと思った。『天体の回転について』の初版なんて、オークションで売りに出したら1〜2億円くらいしてもおかしくないはずだ(クリスティーズによると、10年ほど前に200万ドル以上で売れている)。そして『天体の回転について』初版につけられたこのバカ高い値段は、その実際の価値、つまりこの本が後世に与えた影響力にふさわしいものである。こんな資産を図書館や大学がきちんと保存してるんだということことを、もっと市民に知って欲しい。