ちょっとリアル志向すぎてイマイチだった~『バーバラと心の巨人』(ネタバレあり)

 『バーバラと心の巨人』を見てきた。

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 ヒロインのバーバラ(マディソン・ウルフ)は姉と兄と一緒に浜辺の家に住んでいる。バーバラは独立心が強い変わり者で、いつか攻めてくる巨人と戦うための戦略をひとりで考えて暮らしている。そんなバーバラに、英国からやってきた転校生ソフィア(シドニー・ウェイド)という友達ができるが…

 

 すごくつまらない映画というわけではないのだが、全体的にちょっと「巨人」が必ずバーバラが乗り越えないといけない現実の問題の象徴として事務的に処理されているような印象で、リアルにもっていこうとしたあまり、語り口があまりワクワクしない感じになってしまっている気がした。似たような題材を扱っている『パンズ・ラビリンス』などは、もうちょっとファンタジーと現実の境界がわかるようでいてハッとするほど近付いてしまう危険なポイントみたいなのがあった気がするのだが、この映画はそのへんの描き方がストレートにすぎて物足りなかったと思う。

 

 ベクデル・テストは完全にパスするというか、バーバラと姉のカレンが冒頭近くで『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の話をするところでクリアするし、それ以降もバーバラとカレン、バーバラとモル先生、バーバラとソフィアの会話のほとんどは男性以外についてのものである。また、先日見た『500ページの夢の束』は逆ベクデルをパスしないと思ったのだが、これも逆ベクデルをパスしないかもしれない。一番パスに近いのが、冒頭でバーバラの兄と仲間たちがゲームの話をするところなのだが、ここもバーバラが会話に入ってくるので男性だけの会話といえるかあやしい。