沖縄オリエンタリズムの加減がよくわからなかった〜「ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン青学VS比嘉」

 観劇会で「ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン青学VS比嘉」を見てきた。去年のちょうど同じ時期に初めてテニミュライブビューイングに行ったのだが、生で見るのは初めてだった。昨年同様、プチ研究会形式の観劇会で、いろいろ解説もしてもらえたので大変わかりやすかった。

 お話は全国大会の第一戦で、青春学園と沖縄からやってきたダークホース、比嘉中学校が対決するというものである。前回見た時はタイトルロールの越前も部長の手塚も試合をしないという展開だったので、「こ、これってタイトルロールが目立たない話なの?!」みたいに戸惑ってしまったところもあったのだが、今回は2人ともけっこう試合で活躍するので比較的わかりやすかった。とくに、手塚が試合の終盤で突然パワーアップしてプロジェクションで光を発し始めるところは笑ってしまった(めちゃめちゃおかしかったのだが、雰囲気的に笑っていいのかよくわからなかった…んだけど、どうも笑ってもよいところだったらしい)。照明を使ってテニスの球の動きを表現するところはいかにも舞台らしいので、実際に生で見られてよかった。

 相変わらず役者陣のパフォーマンスはかなり差がある感じだった。前回は跡部役の三浦宏規だけダントツでダンスが上手だったのだが、今回は立海の柳生役の大隅勇太が、雰囲気は二枚目風なのに笑わせるところがよくわかっていてコメディのセンスがあるように見えた。青学のトリオはコロスの役割を果たしていると思う。

 一箇所よくわからなかったのは、比嘉中学校の描写に見られる沖縄オリエンタリズムの加減である。比嘉は沖縄の古武術を習得した集団で、少なくともこのキャストのルックスや衣装はけっこうふつうの兄ちゃんたちで若干ガラが悪そうでもあり、いわゆる沖縄の成人式で暴れる若者のような雰囲気がある。前回見た六角の時は対戦相手がかなり良識的で爽やかだったのだが、比嘉は明らかに悪役で、六角のコーチにボールをぶつけてケガをさせるなど極悪な行動をとっている。歌う歌は沖縄ペンタトニックスケールで、言葉はネイティヴスピーカーの監修がついたウチナーグチであり、ほとんどわからないようなところも多い。沖縄から来た妙にエキゾティックなワルたちという描写はけっこうオリエンタリズムを感じるのだが、一方でこのシリーズの対戦相手の学校がふだんどう描写されているのかという加減が理解できていないので、そのへんはどのように判断していいのかあまりよくわからない。前回ちょっとだけ出てきた氷帝から想像すると、六角が例外で他はどこもとんでもなく誇張されているのかもしれないし…