『PHOTOGRAPH 51』

 科学史観劇会で『PHOTOGRAPH 51』を見てきた。DNAの解明に貢献したものの夭逝した科学者ロザリンド・フランクリンについての芝居で、しかもフランクリンはキングズ・カレッジ・ロンドンで働いていたので、私の母校の超有名人でもある。科学とシェイクスピアを結びつけて縦横無尽に駆使したいい戯曲だったのだが、これについてはちゃんとした劇評をどこかに投稿するかもしれないので、簡単なメモ書きだけにしておこうと思う。

・イギリス初演はニコール・キッドマンだったそうなのだが、明らかにキッドマンみたいな、不愉快な態度を取ってもなんとなく観客が許せるような女優をロザリンド・フランクリンにあてる想定で書かれてる。その点、板谷由夏はよくやってたように思う。
・セットは中央と左側に机、右側に椅子と棚というセットで、それぞれ別の空間であるという設定である。非常にざっくり言うと右側はモーリス・ウィルキンズの場所、左側はドン・キャスパーの場所、中央はロザリンド・フランクリンの場所、中央前方と中央後方(舞台後方のスクリーンの後ろ)はジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックの場所という扱いだった(例外はあり)。
・初日で、しかもあえて早口で台詞を言う演出だったので、けっこう皆とちったりつっかえたりしてた。
シェイクスピアの『冬物語』が大きなモチーフとして使われており、男性の嫉妬とか、ものを見るとはどういうことなのかとか、そうしたテーマを探求するために引用されている。これは大変うまいと思った。
・台本の翻訳にはちょっと難があるように思った.もう少し漢語を減らして、単語数が多くなってもいいから一回聞いただけでわかるような言葉にしたほうがいいと思うところがいくつかあった。
・観劇会後に、『二重螺旋』は注釈付きの版が出てるときいたので、そのうち見てみようと思う。

二重螺旋 完全版
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