イギー・ポップがカワイイ!〜『アメリカン・ヴァルハラ』

 イギー・ポップクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジジョシュ・ホーミと組んで作ったアルバム『ポスト・ポップ・ディプレッション』の製作状況とツアーを撮ったドキュメンタリー映画アメリカン・ヴァルハラ』を見てきた。

 イギーとジョシュの他、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジからディーン・フェルティタと、アークティック・モンキーズのマット・ヘルダースが参加しており、けっこうなスーパーグループである。『ギミー・デンジャー』に続いて、イギーがパワフルなパフォーマンスを見せる一方で自分の音楽を明快にわかりやすく語ってくれる。一方でイギーは他のミュージシャンたちが技術的には自分よりもだいぶ上手いということを素直に認めており(それはそうだろうと思う)、自分が足を引っ張ってるとか謙遜して見せるあたりがちょっとカワイイ。多忙なジョシュの気を引くため、ツアーでクリエイティヴなことができなくなっていると思われる最中に手書きの資料(曲の準備のための詩からベルリンで曲を作っていた時の回想を含むメモまで、すごく面白そうなもの)を送って創造性を刺激しようと思ったとかいう話をしており、とてもチャーミングだ。

 アルバムの前半はジョシュア・トゥリー国立公園にあるランチョ・デ・ラ・ルナ・スタジオで撮ったらしいのだが、砂漠の真ん中にある雰囲気のあるスタジオで、ここの景色を撮ったショットなども綺麗である。後半はツアーの話になるのだが、リハーサル初日にデヴィッド・ボウイが亡くなってしまうという大事件が発生する…ものの、頑張って皆で乗り越えたそうだ。