史上初!エディンバラが破壊されるヒーロー映画〜『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(ネタバレあり)

 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を見てきた。

 とりあえずこれくらいレビューしづらい映画もないというくらいで、いつもはけっこうネタバレを平気でしてしまうこのブログでもネタバレがはばかられるくらいだ。とても面白かったし、またまた現在の社会状況に合うシビアな作品で、さらに登場人物全員に見せ場があり、娯楽映画としてはとても実験的で革新的なこともしている…と思うのだが、なかなか話しにくい。

 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』では、悪役とはいえちょっと一本調子な感じもあったサノスが今作ではなんかものすごく意識高い系の理念を持ち、かつ人間らしい感情もある悪役として発展させられている。どうもマーヴェルユニヴァースでは、父親というのはご家族のメロドラマに飲み込まれずにはいられない存在らしい。系統としては『スパイダーマン ホームカミング』のヴァルチャー的なお父さんにやたらな壮大な理想を付加した感じである。このサノスが活躍しまくったせいで、娯楽大作としては珍しいくらいショッキングで、しかも悪役もそんなに得しているようには見えない悲しい後味で終わるようになっている。

 個人的にネタバレを気にせず楽しく語れるポイントとしては、エディンバラが破壊されるというところがある。今までの人生で、エディンバラ市街が破壊されるヒーローSFなんてたぶん初めて見たので、おおーっと思ってしまった(古都の雰囲気が残っているいい町なのに、東欧あたりの古都に比べるとなかなかこの手の映画に出てこない印象がある)。ヴィジョンとワンダが潜伏していたのがエディンバラというのはなかなかのセンスを感じる…というか、おそらくエディンバラ祭の時期にはふたりでお芝居を観て、休暇の時期にはハイランドに出かけてたのかもしれないし、ヴィジョンはキルト柄のネクタイとか買ったりしてるかもしれない、とかなんとかいう妄想がはかどってしまってそこはけっこう楽しく見られた。しかしながらエディンバラは中盤でかなり派手に破壊されており(ジョンストン・テラス付近がヤバい)、あのへんにある有名なクルド料理店とかエディンバラ・フリンジの小さい小屋は壊滅だ…と思って見ていた。

 細かいところでは、ネビュラが可哀想すぎてどうにもならないし(サノス、ガモーラとネビュラに対する態度の違いがひどすぎる)、アントマンホークアイは次回で大活躍するのだろうかとか、クラグリンは何してるのとか、気になるところがたくさんある。スーパーパワーが無いホークアイが次回、無双するような展開になったら私は大変嬉しいのだが、どうだろうか。あと、『ゲーム・オブ・スローンズ』で得た教訓として、死体が出てきて切り刻まれたり焼かれたりするまでは本当に登場人物が死んだのかわからないというのがある。次作に期待したい。

 なお、ベクデル・テストをパスするかは微妙である(ガモーラとお母さんの会話があるが、お母さんは名前のある女性と見なせるか不明だし、他の女性同士の会話はだいたいヴィジョンとかサノスのことだ)。