面白かったが、上演中に珍しいトラブルが…『1789 バスティーユの恋人たち』

 『1789 バスティーユの恋人たち』を見てきた。再演だが、初演時は見に行かなかったので初めて見た。ダブルキャストなのだが、私が見たのはロナンが小池徹平、オランプが神田沙也加、マリー・アントワネット凰稀かなめだった。

 お話はフランス革命の中、父を殺され、革命に燃える田舎から出てきた貧しい青年ロナンと、マリー・アントワネットに仕えるオランプの許されぬ恋を描いた物語である。かなりセットが凝っており、上方に設置された窓のような部分が客席側に傾いて、その上に人が乗ったりすることもできるようになっている。貧しい田舎の農家の息子であるロナンが革命に加わるに際して、インテリなプチブルジョワの革命家たちとなかなか考えをすり合わせるのが難しいという描写があるあたり、あまり革命を単純化しないよう現代的な関心に合わせて深みを出そうとしているところも見受けられる。ドラマティックな話で、小池ロナンと神田オランプはとても可愛らしいカップルだし、豪華絢爛なミュージカルだ。ただ、いくら神田オランプが可愛いし後でちゃんと救出してくれたからと言って、自分が逮捕される原因を作ったウソ証言をした女性と恋に落ちるロナンはちょっと人が良すぎる気もしたが…

 途中で珍しいトラブルがあった。ロナンが革命家たちと印刷所を初めて訪れた時、新聞をひったくって読もうとするところがあるのだが、この場面で小池ロナンが新聞を引っ張ったところ、見事にベリっと破れてしまった。場内大爆笑になっていた。あれはなんか革命家連中のアドリブでカバーできればよかったと思うのだが、けっこうみんな戸惑っていたように見えた。