よくできているが、あまり好みではなかった〜『ビューティフル・デイ』(ネタバレあり)

 リン・ラムジー監督『ビューティフル・デイ』を見てきた。

 かつては捜査官だったが、現在はPTSDに苦しみながら人捜しの探偵兼殺し屋のような仕事をしているジョー(ホアキン・フェニックス)は、ヴォット議員の娘で、家出した後未成年売春をさせられているらしいニーナ(エカテリーナ・サムソーノフ)の救出を依頼される。いつも通りのやり方でニーナを売春宿から救出したはずのジョーだったが、思わぬ落とし穴が…

 全体的に非常に台詞が少なく(ベクデル・テストは全くパスしない)、説明的な場面もない。ジョーが抱えているらしい精神の問題はフラッシュバックで非常に曖昧に示されるだけだ。全体的にかなり血まみれの映画ではあるものの、最後の非常に重要な死についても直接描写が省略されている。

 フェニックスやサムソーノフの演技はとても良かったのだが、なんとなく全体にほのめかすだけで話が進むスタイルがちょっとキザに感じて、あまり好きになれなかった。あと、やたら個性的な音楽の使い方についてもどうも趣味じゃないな…と思っていたのだが、後で直前に見た『ファントム・スレッド』同様ジョニー・グリーンウッドが音楽を担当していたことに気付いた。私はレディオヘッドが嫌いなので、ひょっとすると全体的にレディオヘッド味を感じてあまり好きじゃないと思ったのかもしれない。