最後だけすごい〜『ルイ14世の死』

アルベルト・セラ監督『ルイ14世の死』を見てきた。ジャン=ピエール・レオルイ14世に扮し、老王が病気にかかって衰弱して死んでいくまでの数週間を描いた作品である。

 王はあまり動かず、ベッドに横たわって具合が悪そうにしている場面が多いし、テンポ感が超独特でそんなに劇的な展開があるわけではないので、まあ好きな人は好きだろうが私はそれほどでもなかった。ただ、ほとんど動かないのに王の肉体感がひしひしと伝わってくるジャン=ピエール・レオの演技は素晴らしいし、あと時代考証についても非常によく考えてやっていると思った。なお、ベクデル・テストはパスしない。
 ずーっと静かでたいした大きなことは起こらない映画なのだが、最後に亡くなった王を解剖するところだけは凄かった。臓器を取り出して検証するところまで生々しく撮っていて、ここだけ科学史の教育映画みたいだ(ただ、全体的に観察するだけの映画なので全体が科学教育映画とも言えるのかもしれないが)。たぶんここだけでも見る価値はある。