ユタ出張(2)ユタシェイクスピアフェスティヴァル、エドワーディアンな『ウィンザーの陽気な女房たち』

シーダーシティではユタシェイクスピアフェスティヴァルが行われているので、まずはポール・メイソン・バーンズ演出『ウィンザーの陽気な女房たち』を観劇した。
 『ウィンザーの陽気な女房たち』はシェイクスピア喜劇としてはあまり上演しやすいほうではない。さらにみんな大好きフォルスタッフが陽気な女房たちにコテンパンにされるという内容なので、男性に好かれないらしい(『じゃじゃ馬馴らし』に比べると上演回数が大変少ないのはそのせいだと言われている)。この上演は舞台をエドワーディアンの時代のウィンザーに設定し、グローブ座ふうの野外劇場であるエンゲルスタッドシェイクスピアシアターに白い調度品を組み込んで時代の雰囲気を演出している。着ているものもエドワーディアンらしく華やかだし、またスコット・ジョプリンなど1900年代前後のヒット曲を組み込んでいて、韻文の台詞が少ないこの喜劇に音楽的なリズムを持ち込もうとしている。冒頭には人物紹介があり、わかりやすくご家族向けの演出を目指しているようだ。

 タイトルロールの陽気な女房ことフォード夫人(タラ・フラナガン)とペイジ夫人(ステファニー・ランボーン)は、いかにも子供の頃からの親友みたいな感じでぴったり息があっている。とても親密感があり、女性同士の友情がよく伝わってきた。この可愛らしくてセクシーな仲良し人妻コンビをフォルスタッフ(ジョン・アーリン)が狙うわけだが、陽気な女房たちのほうが一枚上手でフォルスタッフはすっかり手玉にとられてしまう。エドワーディアンのフォルスタッフなので、ルネサンスふうのメチャクチャな感じはなく、もうちょっと上品なのだが、それでもずいぶん笑わせてもらった。クィックリー夫人(レスリー・ブロット)もけっこう大活躍で、陽気な女房たちや娘のアン・ペイジを含めて、全体的に女性が生き生きしている芝居だ。
 
 この上演はけっこうクセがあって好みが分かれるとは思うし、もうちょっとテクストをカットしたほうがいいんじゃないかと思うところもあったのだが、私は十分楽しめた。