全体的に詰めが甘い~『アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング』

 『アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング』を見てきた。

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 ヒロインのレネー(エイミー・シューマー)はぽちゃっとした体型に自信がなく、シケた毎日を送っていたが、ある日突然、エクササイズクラスで頭を打った影響で自分がすごい美女に変身したと思い込んでしまう。実際には体型も容姿も一切変わっていないのだが、思い込みのせいで自信と自尊心を取り戻したルネーは才能を発揮しまくるようになり、仕事も恋も順調になる。ところが、ある時また頭を打ってしまって…

 

 ヒロインを演じるエイミー・シューマーはとても魅力的だし、美人で有能なのだが悪声を気にしていて超優秀なおばあちゃんの期待に応えられないと悩む企業CEOエイヴリー(ミシェル・ウィリアムズ)なんかのキャラ設定もわりと面白く、ベクデル・テストもパスする…のだが、全体的にかなり詰めの甘い映画である。体型で人を判断したり、容姿を気にして自信をなくしたりするのはもうやめよう、というポジティヴなメッセージの映画である一方、最初のほうでは容姿とか体型に関するネタで笑いをとったりするあたり一貫性がないし、途中の展開についても「ここはすっ飛ばしすぎだろう」とか「あれはどうなったんだ」みたいな流れの悪い箇所が多く、脚本にけっこう問題があると思う。とくにレネーと女友だちの仲が悪化し、その後改善するあたりの展開は描写をはしょりすぎで、「ここはもう一場面くらいは必要だろう」と思うところがいくつかあった。コンセプトはよい作品なのに、台本でこうなったのはかなり残念である。