周りの人が役名を叫んでくれるので、すぐキャラの名前が覚えられる~『映画刀剣乱舞』応援上映(ネタバレあり)

 『映画刀剣乱舞』の応援上映に行ってきた。ゲームどころか舞台すら一度も行ったことがなかったので、設定などを一切理解せずに行ったのだが、とくに予備知識がないと無理というようなところはなく、けっこう面白かった。 touken-movie2019.jp

 歴史を改変しようとする「歴史修正主義者」(とんでもないネーミングだ)と戦うべく、刀の付喪神である男性たちが「さにわ」(審神者)の指示によってタイムトラベルをして戦うという話なのだが、さにわはまあなんかチャーリーズ・エンジェルのチャーリーみたいなもの、刀剣男子はエンジェルだと思えばいいと思う。ちなみに、この映画では最後にチャーリー…じゃなかった代替わりしたさにわの顔出しサービスまである。この映画では本能寺の変織田信長を生かしておくべく活動する歴史修正主義者と刀剣男子たちが戦うという内容になっている。

 

 設定は奇抜なようだが、映画じたいは驚くほどちゃんとした娯楽時代劇である。脚本はちゃんとメリハリをつけて話を盛り上げるようにしているし、お金をかけたほうがよさそうなところにはかけているし、アクションの編集はわかりやすくスピーディだ(『トランスフォーマー』シリーズのめちゃくちゃなアクションの編集をやってた人たちにはこれを見習ってほしい)。織田信長(山本耕史)に関する歴史改変を防がねばならないというメインの話と、リーダー格の三日月宗近(鈴木拡樹)がどうやら何か皆に言いたくないことを隠していてこっそり動いているらしいという話がきちんと交差して最後にしっかりオチるようになっている。織田信長はもともと本能寺で死んでなかったが後世にそう伝えられていただけで…という展開はちょっと安易に陰謀論を取り入れていて、「歴史修正主義」の話であることを考えると「本来歴史というのは誰かが書いた虚構である」的な考えに寄っているのでビミョーだが、それ以外に脚本で気になるところはほぼなかった。出てくるたびに「殿!」コールが客席から飛ぶ山本耕史や秀吉役の八嶋智人などのベテラン陣はもちろん、刀剣男子を演じる若手俳優たちもけっこう生き生きしていてキャラが立っている。個人的には、論文を書いたことがあるくらい好きな山本耕史は別格として、若々しい美男なのに刀的年齢観で自分のことをじじい扱いしている三日月宗近と、他の刀に比べるとちょっと凜々しくてアクションに特徴がある槍の日本号(岩永洋昭)が良かった。なお、女性がほとんど(1人くらいしか)出てこないので、ベクデル・テストはパスしない。

 

 なお、おそらく上映開始前にあまりにも挙動が不審だったせいで、隣に座っている人に励まされた(ありがとうございます)。あと、始まった後にキャラが出てくるといちいちみんなが名前を叫んでくれるので、キャラの名前を知っていなくてもすぐ覚えられる。ただし、それ以外はけっこう初回から応援上映というのはキツい…というか、話に集中しようとしても画面に投げつけられるツッコミに笑ってしまってなかなかできないので、ちょっと疲れる。