ちょっと序盤の情報整理が足りない気が…『ビサイド・ボウイ ミック・ロンソンの軌跡』

 『ビサイド・ボウイ ミック・ロンソンの軌跡』を見てきた。ギタリストのミック・ロンソンについてのドキュメンタリーである。

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 才能があったにもかかわらず、なかなか日のあたりづらいミック・ロンソンの業績を、本人や関係者の発言をもとにまとめたものである。ロンソンはギターと編曲の力が非常に優れており、性格も良くてハンサムだったのだが、控えめなところがあったためあまりフロントマンに向いていなかったらしい。中盤くらいまではボウイと一緒に制作していた時代のことが中心だが、終盤はボウイと離れてからのキャリアのアップダウン、ガンで亡くなってしまうまでを扱っている。

 

 終盤はいいのだが、序盤の情報の出し方がちょっと整理されていない印象を受けた。インタビュー中心でナレーションの説明を極力少なくしているせいもあり、ロンソンがどういう音楽的背景を持っていたのかに関する情報が、最初に秩序立てて説明されるのではなく、かなり小出しにもやっと開示されるので、ロンソンの音楽的成長がちょっとわかりづらい。ギターを始める前にピアノとヴァイオリンを習っていた、という話があるのだが、その後に楽譜の読み書きがあまりできなくて1年間音楽を学んだ、とかいう話が出てくる。ピアノとヴァイオリンを習っていたのにまったく楽譜が読めないわけはないので、作曲や編曲に役立つ楽理を学んだということなのかな…となんとなく想像はできるのだが、どこでどういうふうに学んで編曲者として成長したのかについてあまりはっきりした説明がない。他にも、最初のほうで子供の頃どういう音楽を聴いていたとか、何に影響を受けていたとか、そういう情報をもっとナレーションでまとめて出したほうがよかったのではないかと思う。