プロローグ部分がなかなか面白い~ITCL『真夏の夜の夢』(演出ネタバレあり)

 学生を引率し、成城大学でインターナショナル・シアター・カンパニー・ロンドン『真夏の夜の夢』を見てきた。毎年来日し、英語でシェイクスピアを上演している劇団である。シンプルなセットを使い、少人数でいろいろな役をとっかえひっかえやるのが特徴のカンパニーだ。

 たった6人でやるということでけっこう早変わりが大変そうだし、まあ毎回のことだがちょっと人手不足感はある。それ以外は笑いのツボをおさえた夏夢で、真ん中にちょっとしたカーテンがあるだけのほとんど何もない空間なのに、布をうまく使ったり、木の扮装をしたりして夜の森の雰囲気をうまく出しているところが良かった。音楽に溢れた上演で、ヴァイオリンの生演奏もあるし、またボトム(サミュエル・ライト)が歌うところなどはけっこう上手だった。

 特徴としては、開始前にシーシアスとアマゾン達が戦うプロローグがあるのが面白い。アマゾンたちがヴァイオリンの弓を振り回して象徴的に戦いを表したり、捕虜となったアマゾンの女王ヒポリタ(エイミー・ヒスロップ)が死刑を覚悟したところでシーシアス(ダン・ワイルダー)が結婚指輪を差し出したり、なぜ冒頭場面で婚約中のこの2人の間にビミョーな緊張感があるのかがわかるようにうまくプロローグを使っている。ヒポリタは始終ハーミア(ジェシカ・アトキンズ)に同情的で、最初はアテネの雰囲気にあまり慣れていない様子だったがだんだんほぐれてきて最後は職人たちの芝居を褒めてやるなど、少しずつ宮廷に馴染んでいく感じで演出されていたと思う。

 内容じたいはけっこう面白かったのだが、日本語字幕を投影する幕が波打っており、かなり文字列が斜めになっていたのはあまりよろしくなかった。脇の奥のほうの席の人はとても字幕が見づらかったのではないかと思う。