なんで学校に行きたいのか個人的に理解しづらい~『リアム16歳、はじめての学校』(ネタバレあり)

 『リアム16歳、はじめての学校』を見てきた。

www.youtube.com

 主人公はホームスクールで教育を受けた非常に優秀な少年リアム(ダニエル・ドエニー)である。シングルマザーのクレア(ジュディ・グリア)は公立高校嫌いで過保護な母親で、リアムの教育に全てを捧げている。ところが高卒認定試験を受けに高校に行ったリアムは義足の美少女アナスタシア(シオバーン・ウィリアムズ)に一目惚れし、高卒認定試験でわざと失敗して高校に行くことを決意する。

 

 全体的には、自立しはじめた少年の高校生活を描くさわやかな青春コメディなのだが、設定としてけっこうゆるいところがある。クレアは働いていないみたいなのにリアムはどうしてあんなミドルクラスの家に住めるのかよくわからなかったのだが、まあこれはカナダだから何かそういうこともあるのかもしれない。もっとゆるいのは、リアムがアナスタシアの携帯を勝手に使い、登録されていた彼氏の番号を自分の番号に変えてしまってからのくだりだ。アナスタシアのほうは、誰かが番号を変えて彼氏のフリをしていたことは1日ほどで気付いたのだが、いたずらした犯人が誰だったのかがよくわからない。しばらくしてからリアムが「リアム」として自分の電話からアナスタシアにメッセージを送るのだが、ふつうそんなことをしたら電話番号を変えたのが自分であるのがバレるから、もうちょっと考えるんじゃないのか…と思って見ていた(案の定、リアムはアナスタシアの彼氏に殴られる)。さらにアナスタシアはその後リアムに会いにきて許してくれるのだが、あんなに怒っていたのにすぐ許すのはおかしいし、だいたい番号を変えるとか気持ち悪いからふつうは許さないんじゃないか…と思った。ケンブリッジ大学でとある人物と再会するオチもかなり御都合主義的だ。なお、ベクデル・テストはオータムが織物の話をするところでパスすると思う。

 

 また、これは完全に個人的な好みなのだが、クレアの過保護がちょっと必要以上にウザく、気持ち悪く描かれているのでは…という気がした。あと、最大のポイントは、中学校の時不登校だった私としては、いくら美人がいるからって公立高校に行きたがるリアムの気持ちが全然理解できないということである。これは経験に基づく好みの問題なのでいかんともしがたい。