グローブ座で『ヘンリー四世第一部』を見てきた。フェデリー・ホームズとセイラ・バディが演出で、「ホットスパー」という副題がついたプロダクションだ。ハルもフォルスタッフもホットスパーも女優が演じるというものである。 なお、第二部はちょっと日程的に見られない予定である。
ちょっと現代風な衣装だが、美術はだいたいオーソドックスな感じである。あまりひとりの人物に偏らないよう群像劇らしくした演出だ。一応タイトルロールであるホットスパーは芸術監督のミシェル・テリーが演じているが、血気盛んでハンサムで英雄的な反逆者であり、わりとユーモアがある一方、ある種悲劇的なところもある人物として描かれている。一方でヘレン・シュレシンジャー演じるフォルスタッフはちょっと困った面白いお母さんみたいな感じで、通常のフォルスタッフに比べると機敏で優しそうである一方、笑いはしっかりとってくれる。ただ、これは完全に私の好みの問題なのだが、セイラ・アマンクワ演じるハル王子はちょっとあまり良いと思えなかった。ホットスパーやフォルスタッフに比べると、リアルに若い男性っぽく見えることにすごく気を遣っている役作りに見えたのだが、まるで若くて生意気な小僧みたいに見えるという点で完成度は高いものの、女性のままでちゃんとホットスパーやフォルスタッフに見える他の2人に比べるとちょっと役作りの志向性が違いすぎるように思えた。
